君と奏でる世界は、虹色に輝いている。

2階にある会議室に行くと、まだ誰も来ていなかった。

部屋の壁に掛けてある時計を見ると、開始時間20分前。

早く来すぎちゃったかな…と思ったその時、ドアをノックする音がした。

「失礼します」

そう言って中に入って来たのは遠坂さんだった。

「今日はよろしくお願いします」

「こちらこそよろしく。CMソング、かなり話題になってるし、いい感じだね」

挨拶すると、遠坂さんが笑顔でそう言ってくれた。

「ありがとうございます。遠坂さんに素敵な演奏してもらえたおかげです」

「いやいや、そんなことないよ。鈴原さんの歌は聴く人の耳と心を一瞬で惹きつける力がある。初めて歌を聴いた時、とても感動したよ」

お世辞ではなく、本心でそう思ってくれているのが表情や言い方から伝わって来る。

数多くのアーティストと仕事をしてきた音楽業界の先輩からそんな言葉をもらえると、自分の歌が認めてもらえたような気がしてもっと頑張ろうって思う。
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