君と奏でる世界は、虹色に輝いている。

呆然とニュースを見ていると、テーブルに置いてあったスマホが震えた。

「結音ちゃん、ニュース観た!?」

通話ボタンをタップした瞬間、耳に飛び込んできたのは興奮した様子のマネージャーの篠崎さんの声。

「今、観てます」

「そう。まさかこんな騒ぎになるなんてビックリよね。今、遠坂さんはマスコミの対応に追われてるから。とりあえず、騒ぎが落ち着くまで待ってほしいって」

「……はい」

相手があの人気歌姫の琴吹さんだけに、しばらくの間はマスコミの取材が殺到するだろうな……。

ほとぼりが冷めるまでは静かに見守っている方が良さそう。

それから1週間、毎日芸能ニュースで遠坂さんの熱愛報道が続いた。

琴吹さん側も由弦さん側も、「熱愛ではなく、仕事の打ち合わせのため一緒に食事をしていただけ」というコメントを発表した。
でも、そんな双方のコメントを無視して、ワイドショーは騒ぎ立てていた。

私はただこの騒ぎをテレビ越しに見守るだけの毎日だった。

この半年一緒に仕事をするようになってお互いの連絡先は知っているけれど、由弦さんから連絡はなく、私からも連絡はしなかった。
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