君と奏でる世界は、虹色に輝いている。

だから、ポップ系の曲はこうして自分からノリを作って会場の雰囲気を盛り上げていく。

歌の終盤には会場の手拍子が綺麗に揃っていた。

歌い終わると、最初のMC。

「こんにちは、鈴原 結音です。今日はスプリング・ガーデンへようこそ。
春の雰囲気をたっぷり感じてもらって、ふんわり心が癒されるような時間にしていきたいと思います。最後まで楽しんでください」

私の言葉に、会場から拍手が起こった。

曲が進むにつれて、私の歌の世界に入り込んでくれているのが表情から伝わってくる。

歌いながら客席を見ると、みんなが笑顔で聴いてくれているのがわかって嬉しくなった。

温かい空気に包まれて、コンサートは進んでいく。

時間はあっという間に流れて、気がつけば次の曲が本編ラストの歌。

感動してくれているのか、涙ぐんでいる人が見えて、思わず胸が熱くなる。

歌い終わると、一瞬の静寂の後に今日一番大きくて長い拍手が響いた。

それは、みんなが感動してくれたことや共感してくれたことの証。
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