君と奏でる世界は、虹色に輝いている。
数秒無言で鈴原さんを見ていたせいか、不思議そうな表情になった。
いけない、今は仕事中だ。
「それでは、始めましょうか」
スタッフに声を掛けられて、早速アレンジ構想のミーティングが始まった。
鈴原さんは事前に準備していたした音源に大満足してくれたようで、レコーディングブースに入ってスタッフに音源をかけてもらいながら歌い始めた。
慣らし程度で軽く歌っているはずなのに、すでに完成されたような安定した歌に改めて感心した。
予定よりかなり早く終わったこともあり、スタッフが歌録りを提案すると、鈴原さんは再びレコーディングブースの中へ入った。
歌い出しから、さっきとは全然違う迫力に圧倒された。
「こうして目の前で聴くと、すごい迫力ですね」
「でしょう? 私達も毎回感動してるんです。でも、結音ちゃんの歌は、コンサートで聴くともっと凄いんです。歌い直しが出来ない一発勝負のステージでこそ、本領発揮するんですよ」
確かに、彼女の歌はコンサート向きだ。