お互い好きなわけじゃない

口封じと契約

 塾帰りの夜20時頃。

 いつもの帰り道が工事で封鎖されていた。



「どうしよ…。」



 この時間帯は暴走族やヤンキーなど、厄介な人達が増えてくる。
 
 だからこの通り道以外はできれば避けたいところ…。

 でも、工事中で通れないのなら他の道を通らないといけない。

 そう思い、なんとか頭で考えて思いついたのが近道ルート。

 この近くには公園があってその公園から10分ほど歩けば家に着く。

 いつもの帰り時間より5分のロスをするけど、これでも近道。



「よし、行こう!」



 行くなら早めに行かないと…。

 いつどこで何が起こるか分かんないしね!

 そんな事を考えながら歩いているともう公園に着いていた。

 後少しだ!と喜んでいるのも束の間。

 ーードガッーー
 
 誰かが殴られているような鈍い音と共に私の前に誰かが倒れてきた。



「ひっ!……っ」



 少しの間、時が止まった感覚に陥った。

 けれどすぐに現実に引き戻される。

 ある男の人の声で…。



「君、大丈夫〜?」

「へっ!?」

「…あれ、それって青蘭(せいらん)の制服…?」

「っ⁉︎なんで…」



 私はハッとして自分の服装を見る。

 塾帰りなんだから当たり前だけど、制服だ…。

 しかも青蘭は淡い青色のネクタイとスカート。

 ここら辺じゃ珍しい制服らしく、誰でも見たら一発で分かるらしい。



「君、青蘭の生徒なんだね〜。」

「はい……。」

「同じ〜。」

「そうなんで……っ⁉︎」



 軽く受け流すつもりだったけど、まさかの言葉に続きの言葉が出なかった。

 同じ、高校?ほんとに?

 私は話しかけてきた男の人の服装を見る。

 暗くて見えなかったけど、確かに青蘭の生徒だった。



「君、名前は?」

「……芹川ゆの、です…。」

「ゆの…ねぇ〜。」



 何か嫌な予感がして一歩下がる。

 

「2年生?」

「はい…。」

「何組?」

「2、です…。」

「あれ?同じだ。」



 同じクラス発言に驚いて男の人の顔をじっと見つめる。
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