【完結】大人女子✕年下男子!あなたがだいすきです!可愛い年下わんこ君との恋人7日間契約

日曜日・叔母さんからの、まさかの提案

 
 昨日の口付けを夢に見て、1人赤面して起きる。
 午前中はのんびりと過ごして、時計を見ると12時過ぎ。
 
「姉ちゃん~腹減った……なんか昼めし~~作ってくれ!!」

「あんた、そんな事いっつも彼女さんに言ってないでしょうね」

「もちろん姉ちゃんにしか言わないってー! 彼女と一緒の時は俺がつくる☆」

「まったく」

 調子のいい弟にため息をつく。

「りゅうの料理もうまいだろ?」

「そ、そうね」

 利紀がニヤニヤして見てくるので、利佳子は台所へ逃げた。
 
「うどんでいいかしらね……頂いた乾麺が……」
 
 昼ご飯にうどんでも、と乾麺を茹でているとスマホが鳴った。
 まさかこんな時間に!? と思ったがもちろん隆太朗ではない。

「あ、叔母さんお久しぶりです~~」

 母方の叔母だった。
 両親が亡くなって、色々な面でお世話になってきた。
 とても優しい人だ。

『利佳子ちゃ~~ん! お久しぶりね!』

「はい……すみません。ご無沙汰しちゃってて」

 それから話が弾んで、叔母さんの近況を聞いた。
 おじさんも元気で、従姉妹は推し活が生き甲斐だとか。
 
 利佳子も聞かれるが、変わりないとしか言わなかった。
 
「え? お見合い? ……あぁ紹介」

 唐突のお見合い話……というか男性の紹介。
 相手は利佳子より5歳年上のバツイチだそうだ。
 おじさんの趣味のマラソン仲間らしい。
 たまたま利佳子の写真を見た彼に、紹介してほしいと頼まれたと言う。

 たまたま……そんな事がある? と思う。

『すっごく良い人よ~~』

「私の写真って一体いつの写真?? もうすっかり老けちゃってるんだから!」

 親族で写真を撮ったといえば、従姉妹の結婚式? 
 何年前だろう……。
 
『少し前ではあるけど! 大丈夫、利佳子ちゃん変わらない変わらない! ね!? いいでしょ』

「で、でも……ちょ、ちょっと待ってねトシー! ちょっと手伝って!」

 うどんが茹で上がってしまう。
 声を聞いて来た利紀に任せて、和室へ移動した。

『もしかして、利佳子ちゃん。お付き合いしてる人いるの??』

「い、いえ……いないけど……」

 さすがに叔母に、一週間お試しで年下の……弟の友達と付き合っているとは言えない。

『トシちゃん1人で育ててきて……ね、偉いわ。ず~~~っと頑張ってきたんだから』

「そんな叔母さん達にも色々と協力してもらって、やってこれた事ですよ~」

 ふっと仏壇を見ると両親の写真が目に入る。
 怒涛の日々だった……でもそれも今はあっという間に思える。

『だからね、トシちゃんだってもう立派になったんだから~次は利佳子ちゃんでしょう!』

「えっ……」

『自分の幸せ忘れちゃだめよー!』

「そ、そんなこと……」

『じゃあ、写真をメールで送るからとりあえず見て! 落ち着いたイケメンよ~! 私は絶対!オススメするわよ~! あなたにも見劣りしないキャリアがあるんだから! 今後も安心! 叔母さん、利佳子ちゃんのウェディングドレス選びたいのよ~姉さんも見たいはずだから……!』

「叔母さん……」

 叔母の心配は、本当の思いやり。
 それは伝わってくる。

 ウェディングドレスの話も……。
 子供の頃に母のドレスに憧れて、叔母におもちゃのドレスを買ってもらった事を覚えているんだ。

 叔母の優しさが沁みる……とりあえず改めてメールで返事をすると電話を切った。
 母と声が似ていて、懐かしく切なくなる。

 すぐに写真がメールアプリに届いた。
 マラソンの大会だろうか?
 優しそうな笑顔だが、精悍だ。
 引き締まった身体で、利佳子より若く見えるのではと焦ってしまう。

 隆太朗がふわふわのゴールデン・レトリーバーなら、彼はシェパードのようだ。
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