❤️俺にお前の心をくれ~若頭はこの純愛を諦められない

第十八章 健吾さん愛しています

「あのう、西園寺さんはどちらにいるのでしょうか」

亮二は自分の記憶がない美希に怒りを覚えた。

「僕のことは記憶にないのか」

「えっ」

「君は僕の妻だ、五年間ずっと生活してきた」

由梨は混乱していた。

(この人は何を言っているの?)

「君は雑誌を見て、違う世界の西園寺健吾に会いたいと言い出したんだ、彼は極道だ、彼にも愛する妻がいる、迷惑だから迎えにきてほしいと頼まれたんだ」

(迷惑)

「迷惑かけるわけに行かないだろう、帰ろう」

由梨は納得してないようだが、それから健吾のことは口にしなくなった。

その頃、ハンバーガーを買いに出た裕也は、姿が見えない由梨を必死に探していた。

(やべえ、どこに行っちゃったんだよ)

裕也は健吾に連絡した。

「組長、すみません、自分がハンバーガーを買いに行った隙に、由梨さんが消えちまったんです」

「わかった、俺もそっちに戻る」

健吾は亮二が連れ戻しにきたのだと推測した。
< 139 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop