監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


「わっ!?」


「だれの(タマ)狙ってんだ」




 めずらしく怒りを秘めているようだけど、このどこかへらへらした声は…!




雷牙(らいが)っ?」




 頭上を見ると、頭に浮かんだとおりの顔がそこにあった。

 なんでここに…!と思ったのもつかの間、「ぐっ!」とうめき声がして、まえに視線をもどす。

 私のよこから伸びた手に両腕を払い落とされた103番は、追撃とばかりにおなかを蹴られて、うしろに吹っ飛んでいった。


 バキバキッと、103番の下敷きになった段ボール箱がこわれていく。




「とっさに首に手が伸びるなんざ、危ねぇ野郎だな」


「…」




 ぽかん、と103番をながめたあと。

 私はいきおいよく雷牙を見上げた。




「手を出されなくてもっ、自分でなんとかできました!」


「そりゃあわるかったな。こっちも勝手に体がうごいたもんでよ」


「はぁっ?」
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