監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
 お母さんにも、私の行方を知らないかと連絡がいっていた兎杏にも、すごく心配されたから、日付までちゃんと覚えてる。

 12月29日。時間は、たしか夜。




「…ねぇ、雷牙、事件が起こったのって何時…?」


「…18時半」




 静かに笑って答えた雷牙を見て、目を見開いた。

 雷牙は19時まで、私と一緒にいた。

 そして一緒にいた時間は、少なくとも30分程度じゃない…。




「そう、俺には確固たるアリバイがある。知ってんのは景依だけ、だけどな」


「…なんで、それを警察に言わなかったの!?裁判で言わなかったの!?冤罪ってことじゃん!」


「言っただろ、あのころは大事なダチが死んで、ぜんぶどうでもよくなってたんだ。どんな罪を着せられようが、かまわなかった」




 そんな、と体の力が抜ける。

 雷牙はあの事件の犯人じゃないのに、無期懲役になって少年刑務所に入れられたの…?
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