監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
あれ、私いま、鳩野さんが監獄学園に入った理由を聞いてるんだよね…?
「お兄ちゃんとの日々はいくらでも語れるんですが、ときは9歳まで飛ばします」
「は、はい…」
「あれは夏真っ盛りの8月16日のことでした。公園で女子をいじめていた男子数名を鉄拳制裁して、まぁ人間イスにしたりなんだりしていたんです」
「え」
「そこに、お兄ちゃんがやってきて…いじめられていた女子からはなしを聞いたお兄ちゃんは、自分に言ったんです」
そっとまぶたを伏せる鳩野さんを見て、ごくりとつばを飲む。
いまのところまったくはなしが掴めていない。
「“わるいやつにお仕置きするなんて、真波は看守さんみたいだね”って」
「看守…」
あれ、ちょっとはなしがつながった?
鳩野さんは「はい」とうなずいて目を開けた。
その瞳は半目ながらも、どこかぎらぎらとした熱を感じる。