監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


 じろっと、雷牙へのむかつきをかかえながらにらめば、「はい…」とトレーが差し出される。

 私はそれを持ちながら廊下に出た。




「藤枝先輩、自分も…」


「大丈夫。真波はいつもどおり仕事してて」


「わかりました」




 こつこつと足音を鳴らして、私は1人ちょうばつ房へ向かう。

 私の質問にぜんぶ答えるまで、昼食は食べさせないと決めて。


 ちょうばつ房のまえに着くと、私は扉のカギを開けてなかに入った。

 雷牙はせまい部屋の奥で、格子(こうし)のはまった窓の外を見ている。




「…ん?他のやつが来るもんだと思ってた」




 トレーをすみの床に置くと、私に気づいたらしい雷牙がへらりと笑ってこっちへ来た。




景依(けい)、あの1年とは仲良くなったのか?」




 頬にふれてきた手を払って、きっ、と雷牙をにらむ。
< 272 / 289 >

この作品をシェア

pagetop