監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


「“脱獄をたくらんで女に手を出してるやつ”だって思われれば、本命をかくせるだろ?」


「…本命って、だれ」


「景依に決まってんだろ、もちろん」




 言いながら口にキスをされて、ちょっとだけ胸がドキッとした。

 でも雷牙なら、こんなことだれにでもできそうだし…。




「あの手紙は。何回かやりとりしてないと、“言われたものは用意した”なんて言葉出てこないでしょ」


「外の知り合いにたのんで、それっぽいの出してもらった。中身は俺も知らない」


「外の知り合い?どうやって連絡取ったの。女子?」


「景依はまじめだからな。正直に言ったら対策してくるだろ?男だから安心しろ」




 へらりと笑いながら、雷牙は質問に答える。

 私はむっとして、雷牙の顔を両手ではさみながらもっと尋問した。
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