監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


 本人がぶじに帰って来たから、警察の捜索も打ち切りになって。

 私は数日間の家出を“なにも覚えてない”っていう言いわけでかくす、不良少女ってあつかいにされたっけ。

 不名誉だけど、なにも覚えてない以上、強く否定できるほどの証拠もないから、しょうがない。


 このはなしを続けると、またお母さんが不安がって過保護になるから、はやく他のはなしをしよう。




「そういえば、あのひとは?最近、面会には行ったの?」


《あぁ、お父さん?えぇ、ついこのあいだ。元気にしてたわ》


「そっか」


《お父さんの心配をしてくれているの?》


「いやいやいやっ、そんなの天地がひっくり返ってもないから!」




 ぞわっと鳥肌が立って、空いてる手で二の腕をこすった。

 あのひとの心配なんて、死んでもしたくない。
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