監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


 それがただの受刑者なら、自分の首をしめるだけで終わる。

 でも、108番なら…Verbrechen(フェアブレッヒェン)のキングなら、私たちGebot(ゲボート)を困らせる結果になるんだろう。


 それがわかってしまうから、私は眉根を寄せてかっとうした。




「…わかった。…雷牙」




 しぶしぶ、そう口にすると、雷牙は満足げに目を細めて、私の髪にキスをする。

 雷牙の手から離れた髪は、さらさらと肩に落ちた。

 私を手玉に取る男は、そのまま私の耳元に口を寄せて。




「好きだ、景依。おまえの心が欲しくてたまらない。その分厚い壁を取っ払って、俺のもとに来るってんなら…極上の愛を注いでやるよ」
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