Lazy President

「………冗談で?」



「嘘ついてどーすんの。ほんとに決まってるでしょ」



真顔で言われてしまい、もう一度前に向き直って見上げてみる。



ゔ、ダメだこれ…首痛いっ…。



一番上を見ようとすると、危うく首を痛めてしまいそう。



「…一応言っとくけど、ここに連れ込んで君に何かよからぬ事をしようだとか思ってないからね。そこだけは本当に安心して欲しい」


一体どれだけ家賃代を払えば住めるんだろう…とか考えてたら、イケメンさんが改まって真面目に話しかけてきた。



そこで私もふと我に返って、今の現状を客観的に見る。



あぁ…そっか。



今私がしているのは、本来ならイケナイことなんだ。



見るからに怪しい見ず知らずの男の人が、未成年かつ女子高生の私をマンションなんかに連れてきて、一緒に中へ入ろうとしている。



たしかに世間一般的には、犯罪臭が漂うシチュエーションだ。




…でも、逃げようと思えばいつでも逃げれたよね。



この人は強引だけど、女の私を乱暴に扱うことは愚か、手の繋ぎ方から話し方までの何もかもに優しさを感じた。



気のせいかもしれない、この人がカッコイイから半分妄想なのかもしれない。
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