Bravo, nous avons gagné !
仕事も恋も
 かつての夕夜と同じように、惜しげもなく大学をやめた芙蓉は、ハローワークに通ったり、求人誌とにらめっこしていた。
(そうだ。郵便配達の仕事なら、好きなことを活かせていいかもしれない)
 最初は、車の代わりに乗り始めたバイクだったが、いつからか大切な趣味になっており、手紙を書くことも好きだ。
 思い立ったが吉日と、芙蓉は早速、郵便局に問い合わせ、面接にもあっさりパスした。
「夕夜さん、仕事が決まったの!郵便配達なんだけどね」
「おめでとう!いつから勤務?」
「来週から。実際にやってみないとわからないけど、思いのほか早く決まってよかったぁ」
 嬉しそうな芙蓉のことを、夕夜は切なげな微笑みを浮かべながら見つめていた。
「えっ…どうしたの?夕夜さん」
「ん?」
「だって、何だか凄く淋しそうな顔してるから…」
 そう言われ、少し焦ったように、
< 20 / 78 >

この作品をシェア

pagetop