Bravo, nous avons gagné !
「ふふっ…夕夜さんの部屋がワンルームじゃなくてよかった。だって、夕夜さんって紳士だし、もしワンルームだったら、絶対に泊めてくれなかったでしょう?」
 あんなに落ち込んでいたのに、少し元気が出た芙蓉は、蠱惑的な笑みを浮かべて夕夜に言った。
「ホントは2DKだって、10代の女の子を泊めていいものかなぁ…とは思ってるよ」
 少し戸惑うように夕夜が言うと、
「あ…迷惑だった?」
 芙蓉は、急に不安そうな表情に変わってしまう。
 毒親育ちの特徴の一つで、相手の顔色をうかがってしまうというものがある。典型的な毒親育ちというタイプではない芙蓉も、多少はそのような傾向があった。
 そのことも、何もかも全て知っている夕夜は、宥めるように、
「そんなわけないだろう。迷惑なら、最初から断ってるよ」
「ありがとう。夕夜さんに可愛い恋人が居なくてよかった!おやすみなさい」
 芙蓉は笑顔でそう言い、夕夜もおやすみと返した。
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