パブリックダーリン~私と彼と彼氏~
ケイからタスキを返してもらう時さえもまだドキドキは収まってくれそうになくて、そのまま次のレースが始まった。

えっと、次は2年生のレース…


柏木先輩が出場するっぽい。


100メートル走のスタートラインでアキレス腱を伸ばしながら位置についてる。

周りがザワザワし始めた。特に女子たちがキャッキャ言い始めて、柏木先輩のレースに熱視線が集まり出した。


人気だもんね、柏木先輩。


成績優秀で、人望も厚くて、シュッとしてるしお顔もよくて、生徒会長なんて地位も持ってる。そんなの女子がほっとくわけないよね。

私には彗くんがいるからそんなこと考えたことなかったけど、柏木先輩に思いを寄せる子はいっぱいいると思うんだ。

そんな柏木先輩には表と裏の顔があって、裏の柏木先輩に気付いた時…


みんなどう思うのかな?


パァン!とピストルが鳴った。
ちゃんとレース見てなきゃ!って背筋を伸ばした。

運動神経って遺伝とかそーゆうのあるのかなって思うくらい柏木先輩も早くてあっという間にゴールテープを切った。
さわやかに颯爽と1着でゴールしたからキャーって女子たちの声が舞った。

「か、柏木先輩…!おめでとうございますっ」

「ありがとう、小村さん」

少しかがんでタスキをかけやすくしてくれる、微笑みながら丁寧にお礼まで…それに私はどうしても震えそうになっちゃう。

裏の柏木先輩は怖かったけど、裏を知ってしまった今は表も怖くて。

柏木先輩が何を考えてるのかわからなくて怖い。
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