キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


『未夢』


その証拠に、ほら。

泣きじゃくる私の横に、男の子がいる。


『おいで。僕が未夢を助けてあげる』


その優しい声に、言葉に。

私は無我夢中で縋りついた。


その日から、幾度となく助けてもらったのを覚えている。


カッコよくて、まるで王子様みたいな男の子。

そこから生まれた初めての恋は、何年経とうが鮮明に覚えている。


だけど、ある日を境にパッタリ会えなくなって……私は、また泣いた。


『さみしいよぅ、会いたいよ……。

――――くん』


あれ?

あの男の子は、誰だっけ――



ㅤ𓈊⚜



「んぅ……」


目を開けると、知らない部屋にいた。

まるでアパートの一室みたいな。

白い壁、家具のない部屋。

私が寝転ぶベッドが、ポツンとあるだけ。


「私、どうしたんだっけ……」

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