キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ



――――――目を開けると、見えたのは天井。




覚醒しきらない頭で、さっきの夢を思い出す。

そうか、私……寝ちゃってたんだ。


「だけど夢を見たおかげで、みんなの事を少しずつ思い出してきた」


凌生くんの他にも、私に優しくしてくれる人がいた。

夏屋さん、秋國さん、冬城さんだ。

昔は、雷斗くん、梗一くん、怜くんって呼んでたっけ。



『泣いちゃダメ、笑って! 未夢ちゃん!』

『未夢さん、お菓子いりますか?』

『……ハンカチ』



私を慰め、元気づけてくれたみんな。

そうだ。皆がいたから、昔の私は耐えられてきたんだ。


「凌生くんの言う通り、ただ単に私が忘れてただけなのかな」


――いじめられずぎたショックで昔の記憶が飛んだか


「情けないな……」


何より皆に申し訳ない。

昨日雷斗くんが「俺らの事を知らないの?」って驚いてた理由が分かるよ。
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