Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
 その視線に少しドキドキしてしまったのは、彼があの頃と違って洗練されていたからだろう。きっとメガネがコンタクトに変わったことが、一番の要因に違いない。

「うわぁ、びっくり! なんかプチ同窓会みたいだね」
「春香ちゃん……私はこの方に全く見覚えがないんだけど」

 椿は怪訝な顔で瑠維を見ている。

「あの頃の椿ちゃんは、ヒロくんのことを遠くから見ているだけだったからね。私は逆に近くにいたから、よく彼が教室に来ていたのとか知ってるし」
「あぁ、なるほど」
「二人ってそんな話も出来るくらい仲良しなんだ。なんか妬けるな」

 博之は春香ではなく椿に拗ねた顔を見せ、彼女の髪にそっと触れる。それだけで椿の存在が彼にとって大きいのだと知ることが出来た。

 こんな日が来て欲しいと、春香はずっと願っていた。自分は失恋してしまったが、両片思いで終わってしまった二人の恋が、いつかまた交差して結ばれて欲しいーーまさかその夢が叶うとは思ってもいなかったのだ。

 二人を微笑ましそうに見ていたが、瑠維のことを思い出して彼の方を向くと、彼は黙ったまま春香を見つめている。

「あぁ! ごめんね、良かったらここに座って」

 春香は瑠維に自分の隣に席に座るよう促した。瑠維は少し戸惑いながらも、一礼してから椅子に腰を下ろす。

「……どうしてわかったんですか? 話したことなんかほとんどないのに」
「君、部活に関することをよくヒロくんに聞きに来てたでしょ? 私も近くにいたから、君の声を覚えてたんだね」
「声……ですか?」
「うん。私が覚えているくらいだもん。いい声だって言われたりしない?」
「言われないですね……何言ってるかわからないとは言われますが」

 その瞬間、春香は思わず吹き出した。

「そんなことないよ。私にはちょうどいいくらいの音程だよ」
「……それなら……良かったです」

 照れたように俯いた瑠維を微笑ましく思いながら、春香は再び博之の方に向き直る。

「で、何の話だっけ?」
「だから、佐倉にボディガードをつけるって話。瑠維が適任だと思うんだ。なんてったってフリーランスだからさ」
「フリーランス?」

 すると顔を上げた瑠維が、慌てた様子で口の前に人差し指を立てる。それを見た博之は、なだめるように頷いた。
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