Snow magic
「…じ?椛っ?」
「…っえ?……あ、ごめん。」
隣の光杞に肩を叩かれ、現実に引き戻された。
光杞と桜也を見ると心配そうな顔をされてしまっている。
柚燈のことを思い出していたら、考え込んで周りが見えなくなっていたようだ。
……ほーんと、柚燈のことだけは吹っ切れないみたい。
「え、で?どうしたの?光杞。」
「今日の仕事終わった夜、空いてる?」
と改まったように真剣な顔をして聞いてくる。
そんな真面目な顔をして何か大事なことでもあるのだろうか。
「うん、大丈夫だよ。今日は打ち合わせ1時から3時半までだから。」
そう思いながらもメモを確認してから素直に頷いた。
今日は、これから担当の小説家さんと打ち合わせの予定だ。
「……じゃあ、今日の夜久しぶりに外食しない?私この前おいしい店見つけたんだ!」
「………。」
なんて言っている光杞の言葉は明らかに丸わかりな嘘だ。
幼い頃から一緒にいるせいでどれだけ隠そうとしても微かな違いで嘘をついていることがわかってしまう。
まぁ、あんな話の後にただ単なる外食の提案なんてするわけないよね………。
「……いいよー。桜也のおごりにしちゃう?」
私は嘘に気づきながらも、気づかないふりをしていたずらっぽく笑った。
「光杞が誘ってんだからふつーは、光杞に奢らせるべきだろ。」
桜也は、ったくと言いながら呆れっぽい顔をしながらも平然と冗談にのってくる。
「まぁーいいじゃんっ、桜也の奢りってことでさ!…じゃ、店は後で地図と一緒にラインで送っとくね。」
「オッケー。じゃ、私そろそろ準備するね?ごちそうさま。美味しかったよ、桜也。」
「そりゃよかった。」