【短編】大嫌いな義母へ~嫁ぐ日に知った私の家族の物語~

中編

 義母が嫁いできて5年が経った──。
 私は16歳となり、かねてから話があがっていた第二王子のミスリル殿下の婚約者となった。
 元々ミスリル殿下は、ヴィラートお兄様の御学友で、仲がよく、お兄様は『お前になら妹を渡してもいい』なんて言ってけど、本当にそうなるなんて思わなかった……。

「フェリス、寒くないかい?」
「はい、殿下がこのマフラーをくださったので、寒くないです!」
「よかった。君が風邪を引いたりしようもんなら、ヴィラートになんと言われるか」

 殿下は微笑みながら、私の手を握った。
 ゆっくりと私と殿下の唇が近づいて、そっとそれは触れ合った……。

 殿下と会った後、自邸に戻った。
 すると、廊下で義母とばったり会う。

 目が合うがどちらも口を開かない。
 止めていた足を私は義母の方へと向けて動かし、彼女の横をすり抜けた。 

 何も言い合わない。
 そうしてすれ違ってお互いの部屋へと向かっていく。

(あの人は苦手……)

 それに義母も私が嫌いだ。
 義母が嫁いできた翌日のこと、庭で遊んでいた私を無理に自邸に引っ張り込み、そのまま私の部屋に閉じ込めた。
 前日に見つけた花をあそこに植えたから見ていただけなのに。

 義母の私への嫌がらせは何十回もあった。
 学院の友達と行く予定だったカフェも行かせてもらえなかったし、友達からもらったプレゼントのぬいぐるみも捨てられた。
 お父様に嫌がらせを全部伝えたけど、代わりに買ってあげるから我慢しろと言われるばかり。
 ヴィラートお兄様に言ったら、今度僕が一緒にカフェに行ってあげるからとなだめられるばかり。

 なぜみんな義母の味方をするの?

 私は愛されてないの?

 そんな風に思いながら、ついに私と殿下の正式な婚姻の儀の日が訪れた。
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