私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
「コスモさんが襲われた!?」
 穂希から電話で聞き、一鈴は思わず声をあげた。
 玉江が驚いて一鈴を見る。一鈴は慌ててリビングから寝室へ移動した。

「どういうことですか!」
「昨夜、街で後ろから殴られたそうだ。犯人はバッグを奪って逃走、捕まっていない」
「ケガは」
「意識不明だ」
「そんな!」
「夕方、病院に来てくれ。車は時任に手配させる。病院で合流しよう」
「わかりました」
 一鈴が答えるとスマホは切れた。

 すぐにでも飛んで行きたかった。
 夕方になったのは穂希の仕事の都合だろう。
 一鈴にはなにもどうしようもない。
 神様、どうかコスモさんを助けてください。

 今なら穂希が開運グッズを集める気持ちがわかる。
 自分ではどうにもならないとき、どうしたって縋る相手がほしくなるものだ。
 神がいるのか知らないが、祈らずにはいられなかった。



 夕方が待ちきれなかった。
 病院のロビーで穂希と合流し、病室に向かう。
 面会謝絶の札が出ていたが、穂希は扉を開けて中に入った。

コスモは酸素マスクをつけられ、体からも頭からもコードが伸びていた。モニターには波形が流れ続け、頭にはガーゼをテープで固定してあった。ドラマのように包帯でぐるぐるとは巻かないようだ。

 その手をそっと握る。温かくて、なんだかほっとした。
「どうしてこんなことに」
「俺の呪いか」
 穂希が呟き、一鈴はきっと彼をにらんだ。
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