私はお守りじゃありません! ~現代の大奥で婚約バトル!? 呪われた御曹司が「君は俺のお守りだ」と甘えてきます~
「このままベッドに行く?」
穂希はいたずらっぽく微笑んで声のトーンを戻した。
「やめてください」
「俺はいつでもOKだけど」
「もう!」
怒る一鈴にはかまわず、穂希はくすくす笑いながら唇を重ねた。
***
暗がりの部屋で、その人物はヘッドホンから流れる音声に耳をかたむけていた。
「ああ、やめてください」
女が喘ぐように言う。
「いいじゃないか、俺たちは愛し合っているんだから」
男は興奮を抑えられないようだ。
「優しくしてください」
「君しだいだな」
聞いていた人物はヘッドホンをとり、床に投げつけた。ぐしゃ、とそれを踏みにじると、黒髪が揺れた。
***
一鈴はスマホに表示された文字を読み上げる。
「もう離さないでください」
笑いそうになるのを、必死にこらえる。
「こんなんでいいんですか」
一鈴は声を押さえて穂希に言った。スマホの文章は穂希が急遽作った台本で、浅い内容だ。セリフもしらじらしくてばかばかしい。
「いいんだ」
彼は笑顔で小声で答える。
「二人とも棒読みですよ」
「なんなら、台本なしで本番にするか?」
「なんてこと言うんですか」
一鈴の顔が赤くなったのを見て、穂希はまたくすくすと笑った。
***
その夜遅く。
一鈴のベッドに近付く男がいた。
侵入を防ぐ者は誰もいなかった。
男はナイフを振り上げた。
穂希はいたずらっぽく微笑んで声のトーンを戻した。
「やめてください」
「俺はいつでもOKだけど」
「もう!」
怒る一鈴にはかまわず、穂希はくすくす笑いながら唇を重ねた。
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暗がりの部屋で、その人物はヘッドホンから流れる音声に耳をかたむけていた。
「ああ、やめてください」
女が喘ぐように言う。
「いいじゃないか、俺たちは愛し合っているんだから」
男は興奮を抑えられないようだ。
「優しくしてください」
「君しだいだな」
聞いていた人物はヘッドホンをとり、床に投げつけた。ぐしゃ、とそれを踏みにじると、黒髪が揺れた。
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一鈴はスマホに表示された文字を読み上げる。
「もう離さないでください」
笑いそうになるのを、必死にこらえる。
「こんなんでいいんですか」
一鈴は声を押さえて穂希に言った。スマホの文章は穂希が急遽作った台本で、浅い内容だ。セリフもしらじらしくてばかばかしい。
「いいんだ」
彼は笑顔で小声で答える。
「二人とも棒読みですよ」
「なんなら、台本なしで本番にするか?」
「なんてこと言うんですか」
一鈴の顔が赤くなったのを見て、穂希はまたくすくすと笑った。
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その夜遅く。
一鈴のベッドに近付く男がいた。
侵入を防ぐ者は誰もいなかった。
男はナイフを振り上げた。