家出少女の反抗
私は必死になって、怜音先生の下へ駆けつける。
円らな瞳は閉じられており、宇宙の中を苦しそうに浮かんでいる怜音先生の姿を思い出した。
「だめ……だめ!!いっちゃだめ!!」
必死になって、体を揺さぶる。
周りの生徒も駆けつけてきて、必死に声を掛ける。
潤を睨んだ。
どうして……!!
なんでこんな事を!!
睨まれた潤は狼狽えて、ナイフを落として逃げようとする。
それをすかさず、周りにいた先生達がやっと捕まえてくれた。
すべての感情がぐちゃぐちゃになって、嗚咽を漏らしていた時。
怜音先生が、薄っすらと目を開けた。
傷口がどんどん開いていって、どんどん血が溢れてくる。
「霞……俺は……大丈夫だから……」
「喋らないで!!誰かっ……タオルを!!救急車っを!!」
叫び通していると、やっと周りが動き出す。
「霞ちゃん、離れて!!」
やっと保健室の先生達が駆けつけて、応急処置をしてくれる。
「嫌……っ!!離して!!怜音先生のそばにいるの!!」
そんな無謀な抵抗も虚しく、引き離される私。
「愛……大丈夫だよね?怜音先生……何かあったら……私ッ!!」
「落ち着いて……霞……悪いのは、私のせいだから……だから、離れよ!!ね?」
私は愛に諭され、なんとか落ち着きを取り戻して引き離された。
救急車がやっとやって来た。