ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

勇人Side

 多賀野勇人。きりっとした綺麗な形をした二重の瞳に、少し青白い肌に黒髪ベースに金色のメッシュを入れ、ピアスだらけの長身でしなやかな肉付きの学生。学校では知らない者はいないと言っていいレベルの不良で、絶対に関わるなというお達しが教師から出ているほど。そして県内一大規模な暴走族・鬼龍会の総長である。
 彼の家は裕福な家庭だ。しかしただ裕福な家庭ではない。父親は代々やくざの幹部を務めている人間で、母親もやくざの組長の血を持つ女性で2人はやくざ内のお見合いで結ばれた。
 父親は表向きは不動産業をしていて、サラリーマンと変わらない見た目をしていた。母親もやくざである事を隠し、レストランのホール担当として働いていた。母親は料理が好きでレストランで働き始めたのもそれがきっかけだった。
 そんなお見合い結婚とは思えない程仲良しな2人の間に勇人は生まれた。勇人は長男で姉が2人いる。姉はどちらも優しく、面倒見も良く真面目な人物だ。
 小学校では勇人は可もなく不可もなく、特段目立つような人物ではなかった。成績は中の上くらい。運動も普通に出来た。友人にもそれなりに恵まれたが、友人の家に遊びに行ったりと深入りするような事はしなかった。
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