冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情


「ぅ……なんか目が冴えてきた……」

「さっきまであんな眠そうにしてたじゃん」


「埜夜くんがこんなことする……から」

「するからどうしたの?」


「ドキドキして眠れないの……っ!」


これじゃ、リラックスどころか心臓に悪くて落ち着かないよ。


「へぇ……俺にドキドキしてるんだ?」

「だって、埜夜くん近い……」


「ゆずが嫌なら離れるけど」

「う……や、あんまり近すぎるのは……」


「じゃあ、どれくらいならいい?」


抱きしめる力を少しゆるめて、わたしの顔をひょこっと覗き込んでくる。


「あ、ぅ……どれくらいとか、わかんない」


恥ずかしすぎて、それを隠すために顔をそらした。

それを見て埜夜くんがクスッと笑う。


「俺はゆずに触れたくて仕方ないのにね」

なんて言って、もっとギュッてしてくるの。


次第に眠気がグッと強くなってきた

まぶたが重くてうとうと……。


「ゆず」

「ん……。やよ、くん……」


「あー……ほんとなんでこんな可愛いんだろ」


眠くてボーッとする意識の中で。


「早く俺のものにしたい」


そんな声が聞こえた気がした。


< 48 / 242 >

この作品をシェア

pagetop