🆕僕に依存してほしい。【ピュアBL】

*歩夢視点。恋人のお試し

 昨日、怜くんは僕に対して冷たかった。

 悠生くんとやっているスマホアプリのゲームで、一定時間無敵になれるレアアイテムや回復するアイテムの詰め合わせセットがもらえる元旦限定クエストのイベントがあって。それを悠生くんとやって、終わったら怜くんとおみくじ引きに行きたかったのに。「友達といけば」って……。

「歩夢くん、どうしたの? 元気ない?」

 今僕は、悠生くんの家にいる。
 着いてすぐに悠生くんは僕が元気ないことに気がついてくれた。

「実は毎年おみくじ引きに行ってたんだけど、今年はその一緒に行ってた人に、『友達といけば』って冷たく言われて……」

「そんなことがあって歩夢くんは元気がないんだね……ねぇ、じゃあ一緒に行こうよ」

「でも……」

 怜くんと行きたかったけど冷たくされたし。だんだんと怜くんと僕の間の壁が厚くなってきている気がするなぁ。

 結局レアアイテムを手に入れたら悠生くんと一緒に行くことになった。

「歩夢くん、マフラーの巻き方、上手くなった? 中学の時から首元あいてて寒そうだなってずっと気になってたんだよね」

 神社に向かう途中、悠生くんが僕のマフラーをまじまじと見つめながらそう言った。上手くなったのかは分からないけど。悠生くんがマフラーを巻き直してくれたあとに、うちの玄関にある鏡でどんな風に巻いてくれたのかなって確認してみた。それを思い出して悠生くんがやってくれたみたいに今日は巻いてみた。

「ずっと気になってたの?」

 僕は人のマフラーの巻き方なんて全く気にしたりしない。

「悠生くんはみんなのマフラーの巻き方が気になるタイプなの?」

「違うよ、歩夢くんのだけだよ」

 悠生くんがふふっと笑った。

 それって、僕だけを気にしてくれて見てくれていたってことなのかな? ちらり悠生くんを見た。

――悠生くんはいつも僕のこと、気にしてくれるんだね。悠生くんは……。
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