🆕僕に依存してほしい。【ピュアBL】
 3人で2人用リフトの乗り場に並んだ。

 一番前は怜くん。次は僕で後ろが悠生くん。2人ずつ乗るから、怜くんの隣に乗るつもるだったけど。後ろからぎゅって腕を引っ張られて、悠生くんが「一緒に乗ろう」って。

 ひとりでリフトに乗った怜くんが一瞬こっちを向いて、ぷいってしてきた。

 リフトに乗った瞬間、ため息をまた外に出しちゃった。ぷいってされたのがショックで。

 最近ため息、たくさん外にこぼしちゃうな……。

「歩夢くん、どうしたの?」
「あのね、今、怜くんにぷいってされたの」

 僕は前のリフトに乗っている怜くんの背中を見つめた。

「歩夢くんが僕と一緒にリフトに乗ったからかな?」
「えっ? 僕のせい?」
「……歩夢くんって、鈍感だね」
「何? いきなり鈍感とか言われても意味が分からないよ。なんで?」
「教えない!」

 どうして教えてくれないの?

 ぷいってされた理由と鈍感って言われた理由をなんでだろうって考えていたら、いつの間にか降りる場所に着いていて、あわててリフトから降りたら転んだ。

 次に降りてくる人たちの邪魔になっちゃうから移動したいけど、立ち上がれなくなっちゃった。

「歩夢……」
「歩夢くん、大丈夫?」

 怜くんが近づいてきて助けようとしてくれたけど、悠生くんが先に目の前に来て手を出してくれた。僕は悠生くんの手を掴んで立つと急いで移動した。

 怜くんと目が合うとすぐにそらされちゃった。 

「行くぞ」って怜くんの声を合図に、僕たちも滑っていく。ふたりとも、やっぱりすごく上手くて。僕の滑るスピードに合わせてくれている。ちなみに僕はずっと全力。

 何回も滑って、全部悠生くんとリフトに乗っていた。けれどラストって時に「最後、俺と乗ろ」って怜くんに誘われて、嬉しくなって笑顔で返事をした。

 乗っている間は怜くん、ずっと無言だったけど、僕の気持ちはるんるんしていた。
 
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