10万円のお賽銭
今年 1月1日
ーー


 あれから一年。私は今年も巫女さんのバイトをしている。
今日は1月1日、お正月だ。

 ちょうど一年前、結局あの男性はぴったり10万円入れていたことが発覚した。
だが、その理由、目的は不明のままだ。

信仰心が強いわけでもないのに(お祈りもしないくらいだから、むしろ信じていないと思う)
お賽銭箱に10万円を入れた男性。

 私はその男性を忘れられない。



 
 そうやって過去を思い出して懐かしんでいると、またお賽銭箱の近くを通った。

(あぁ、一年前もここ通ったなぁ……。)

すると……、


「……⁉︎」

一年前の例の男性に似た人……、いや、おそらく本人がいた。
そして、また封筒からお札を取り出している。


もしかして、また10万円入れようとしてる……⁉︎

よし、今年こそ10万円の理由を突き止めてやる‼︎



「すみません。」


「……。はい。」


「それ、10万円ですよね? 
 昨年も10万円を入れていらっしゃいましたよね?
 よかったら、そんな大金を賽銭する理由を聞かせてくれませんか?」


男性は、驚いて目を見開いた。
そして、考える素振りを見せると、


「……。別に。気まぐれ。」


と言った。


なんかこれ、デジャブだな……。
でも、ここで引き下がらない!
今年こそ、理由を突き止める!

私は、違う視点から問いかけることにした。


「では、どうしてお祈りしないのですか?」

「は?」

「どうしてそんな大金を入れておいて、お祈りしないのですか?」

「……。」

「昨年から、ずっと疑問だったんです。
 よければ、教えていただけませんか?
 言いにくいようでしたら、場所を移動しますから。」

「……、……。」

なかなか話してくれそうにない。
私は痺れを切らし、縋るように叫んでいた。

「お願い!!
 私、どうしても知りたいんです!!
 教えて!!」

「……、わ、分かった。
 じゃあ、あっちの人がいない所でいい?」

「……! やった〜!!」

やっと話してくれる!


ーー


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