Change of Life

ヒロタカは、現在、30歳になっている。
　今日は、会社の同僚と、新橋まで来て、居酒屋で飲んでいた。
　最近、ヒロタカは、会社でお荷物状態になっている。
　そして、ヒロタカの同僚、3人は、何となく楽しそうにビールを片手に、飲んでいるが、ヒロタカは、ポツンと座っている。
　その時だった。
　居酒屋のママが、ヒロタカにこう言った。
「私の娘がね」
「はい」
「最近、離婚したのよ」
「え、そうですか？」
「うん」
「小田原の方で結婚生活をしていたけど、離婚して、新橋に戻ってきたの」
「へぇー」
　と言った。
　ヒロタカは、焼き鳥を食べながら、少し考えた。
　実は、最近、動悸が激しくなっている。
　ドキドキしている。
　会談を上がると気が、苦しいと思う。
　汗も激しくかく。
　今まで、健康に自信があったと自慢のヒロタカは、そうではないと気がつく。
　ヒロタカは、最近、会社での仕事も上の空になっている。
　少し前まで、「ゆとり世代」だったヒロタカだったのだが、最近では、「Z世代」なんて出ている。
　そして、最近、マンガを観ていて思った。
　ドラマ『パリピ孔明』を観ていて、ヒロタカも、また、月見英子みたいに、歌手で成功をしたいなどと思っていたが、もう駄目だと思う。
　ここは、食品メーカーだが、最近では、ヒロタカは、新しい知識についていけない。会社の研修で、大学の農学部の社会人講座やらセミナーで、食品科学の話を聴いても、ついていけない。
　頭だけは、取柄だったのだが、最近では、ついていけない。
　ヒロタカは、横浜に住んでいる。
　いつも京急快特で、横浜駅から品川まで出てきて、そこから新宿のここの会社に来るのだが、最近では、京急快特を乗っても楽しみがなくなった。
　本当は、ヒロタカは、有村架純や高畑充希、古川優奈、上白石萌歌が、好きだが、どうも性欲が湧かない。
　試しに『プレイボーイ』を買って、カレンダーを、部屋に飾ったのだが、どうも、元気がない。
　たまに、秋葉原まで、グラビアアイドルの握手会に行ったが、元気がない。
　そして、風俗店へ行って、商売の女性と相手をしたが、射精こそしたが、空しくなっていた。
　大好きな京急快特も、アイドルも、何か今は興味が湧かない。
　そんなある日だった。
　今日は、会社の健康診断が、あった。
　内科の斎藤医師が、診断でこう言った。
「内田さん」
「はい」
「ここの部分ね」
「はい」
「甲状腺って言ってね」
「はい」
「だけど、ここ去年も言ったけど、すごい腫れているから、今すぐ、新宿のしんじゅく総合グリーン病院へ行って、内科の辺見先生に相談に行ってください」
「え！」
「僕が、今すぐ、紹介状を書くから」
　と斎藤医師は、言った。
　当然ながら、ヒロタカは、グリーン病院へ行って、内科では、駄目だったので、耳鼻咽喉科へ行って、手術をした。
　だが、それだけでは、駄目で、甲状腺の数値が、上昇して、バセドウ病になっていた。だから、数値の上昇を抑える薬を飲んでいた。
　しかし、そうこうしている間に、ヒロタカは、会社では、仕事ができなくなった。そして、ヒロタカは、到頭、東京の会社を辞めて、実家のある神奈川県藤沢市に戻ることになった。
　本当は、藤沢市に戻りたくなかった。
　ただ、藤沢の実家は、養鶏場をしているが、両親が「生活費のことなんて気にしなくていいから、東京よりも藤沢に戻って来なさい」と言った。
　神奈川県藤沢市なんて嫌いだった。
　確かに、湘南の海は、近いよ。
　そして、夏になれば、ビーチバレーがあって、そのきゃぴきゃぴした女の子がいたのは、間違いがない。
　だが、ヒロタカは、そんな藤沢市なんてあまり面白い思い出なんてなく、ヒロタカは、「作家になりたい」と言って、都心の私立大学に行った。そして、大学では、映画サークルを作ったのだが、サークルの後輩が、付き合っていた女性とホテルへ行き、喧嘩になった。
　また、後輩は、他にも、機材を購入する際に。予算オーバーになって、ヒロタカは、借金を背負った。
　その時、ヒロタカは、塾講師をしていて、お金がもうかっていたのに、何故か、とんだ貧乏くじを引いていた。
　更に、4回生になったとき、本当は、出版社へ行こうとしたが、インフルエンザで面接がアウトになった。ただ、後がないから、ヒロタカは、ここの食品メーカーに入社した。
　ただ、ヒロタカは、「こんな会社、つまんない」と思っていた。
　だから、何故か、仕事はできていたが、その内、同僚からは、あまり誘われず、そして、気がついたら、激務になっていた。
　そして、ここの会社で病気になって辞職をした。