KISSでチェンジ!
人気者の正体
若草東中学校の入学式は午前十一頃に終わり、新入生たちはそれぞれに決められた教室に戻ってきていた。

 深井純は一年A組の教室。窓際の一番後ろの席という、安定の出席番号を勝ち取り、昨日の寝不足を補おうとしていた。窓から差し込む春の日差しは心地よく、もう少しで夢の中に入り込むことができるという直前。

「キャア!」
 そんな悲鳴が聞こえてきて目を開けた。

 周囲を確認してみても純と同じように一人席に座っていたり、中学からの同級生と偶然同じクラスになった者同士が談笑していたりと、特に変わりがないように見える。

 ならさっきの悲鳴はなんだったのかと考えるより先に、その人物が教室内に入ってきた。

170センチはある長身に恐いくらいととのった顔。長い手足を持て余すようにして廊下側の列、真ん中あたりの机に座ったのは川相良明だった。

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