不倫日和~その先にあるもの……それは溺愛でした。
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真実を知る時とはこんなにも、あっさりと分かってしまうものなのだろうか。
今まで自分のしでかしてきた過ちに反吐が出る。
どんなに悔やんでも悔やみきれない。
菫花はどんな思いで俺の話を聞いていたのだろう。
嫌な思いをしていたことだろう。
菫花は不倫などしていない、そんな事はなかった、信じて欲しい、辛い、悲しい、そんなことは一言だって言わなかった。
いつだって悲しそうに瞳を伏せ、申し訳なさそうにこちらを見ていた。その瞳の奥で、懐かしさを求めるように俺を見ていた。いつだって菫花は父さんの面影を俺に重ねて……それが悔しくて、俺は菫花に強く当たった。
そう、それは子供のような八つ当たりだ。
父さんではなく、俺を見て欲しい。
俺だけをその瞳に映して欲しい。
独占欲だった。
こんなに一人の女性が欲しいと思ったことなんて無い。
俺は……菫花が……。
俺は菫花のアパートに急いだ。車を運転しながら俺は先ほど兄から聞かされた話を思い出していた。兄さんから聞いた話は衝撃的なものだった。
それは父と菫花の不倫の事実。