僕の秘書に、極上の愛を捧げます
遠藤の作戦だろう。
こんなふうに有無を言わせないシチュエーションにすれば、私が必ず行くと考えているのだ。

分かっているのに、行かない選択ができない。
ずっと待たせていたらと思うと、たとえ遠藤でも申し訳ない気持ちになってしまうから。

ただ話をするだけ。
そこに特別な感情があるわけじゃない。

そう思い直して、私は指定のカフェに向かった。


「翔子、こっちだ」

店内に入ると、遠藤が軽く手をあげて私を呼ぶ。
飲み物を注文し、受け取ってから彼のいるテーブルに向かった。

「3年ぶりくらいか・・。翔子、綺麗になったな。しかし、まさか成宮専務の秘書とは・・驚いたよ」

「・・・・」

私は無言でカップに入ったコーヒーを飲む。
今更、これといって話したいことも無い。

「専務、翔子のことをだいぶ気に入ってるみたいだったけど、翔子はどうなんだ?」

「どう・・って、どういう意味?」

「例えば、専務と恋愛関係になりたいと思っているかどうか。もしそうなら、あの人はダメだ。親しい女性は数多くいるし、当然あっちの方も困っていない。噂だと、外国に婚約者もいるらしいしな」

あっちの方・・とは、いわゆる夜のお相手のことだろう。
あれだけのルックスなのだ、それは疑いようもない。

「恋愛とか結婚狙いで秘書をしているわけじゃないのよ。選んでくれた社長にも、私を置いてくれる専務にも失礼。余計な詮索はやめてほしい」

「冗談だって。そんなに怒るなよ。専務狙いかどうか、確かめたかっただけだ。そうじゃないのなら・・俺と、どうだ?」

その発言に、私は驚いて目を見開いた。



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