僕の秘書に、極上の愛を捧げます

Side 恭介

ふと、目が覚めた。

見渡すと、外はもう明るいけれどまだ静かで、ベッドサイドに置いたスマートフォンを傾けて時間を確認する。

「5時半・・か」

スマートフォンを戻し、もう一度ベッドに潜り込んだ。
自分ではないもうひとつのやわらかい存在に、思わず頬が緩む。

後ろから彼女を緩く抱き締めると、さらりとした手触りの肌がぴくりと動く。

「ん・・・・。恭介・・さん」

彼女は寝言のように小さく呟いて、くるりと身体をこちらに向けた。
そして俺を見上げ、ふんわりと微笑む。

メイクの落ちた顔は、普段よりも童顔に見えた。
可愛い・・な。

「まだ起きるには早いよ。ごめん、起こしたか?」

そう問いかけた俺に、彼女が言った。

「恭介さん・・・・。夢じゃないか確かめたい・・けど、どうしたら・・いい?」

俺を見上げている彼女の唇に、俺は自分の唇をやわらかく重ねた。
ゆっくり何度も重ねていると、少しずつ、彼女の身体が汗ばんでくるのが分かる。

「翔子、そんな反応したら・・また抱きたくなる」

冗談半分で言ったつもりなのに、唇を話した俺に彼女は寂しそうな表情を見せた。

「もう、朝だから・・。恭介さんを独り占めできる時間は、そろそろおしまいですか?」

思わず『おしまいでいいの?』と聞き返したくなったけれど、このタイミングで、そんなふうに彼女の気持ちを試すようなことは止めようと思った。

「俺はもっと一緒にいたいって言ったはずだよ。翔子が俺を独り占めする時間が朝までなら、その先は俺に翔子を独り占めさせてくれる?」

「え・・」

「今日は祝日。どうしても外せないプライベートの予定があるなら諦めるけど、そうじゃなければまだ一緒にいたい」

それを聞き、きゅっと抱きついてきた彼女を抱きしめながら、とてもとても愛しいと思っていた。



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