【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
「では、私は食事の用意の方に移りますね。後は任せたわ、クレア」
「了解、マリン」
「そう言うわけで、失礼いたします、シェリル様」

 そんな時、マリンはそう言うと部屋を出て行く。その後ろ姿を見送れば、残されたのは私とクレアの二人。……さて、何を話せばいいだろうか。とりあえず、詳しい自己紹介と事情をクレアには話した方が良い……かもしれない。

「えっと、クレア。私の事情とか……」
「それでしたら、ご心配なく。お話しにくいでしょうから、無理にお話する必要はありません」

 私の言葉に、クレアはにっこりとした笑みを浮かべてそう言ってくれる。……やはり、クレアは私の地雷を踏まないようにとかなり気を遣ってくれているよう。……まぁ、貴族の令嬢って結構癇癪持ちが多いしなぁ。地雷は踏まないに限る。

「あ、シェリル様。とりあえず、この空き時間に採寸しましょうか」
「さ、採寸……?」
「はい、シェリル様専用のワンピースなどを仕立てるためですよ。あの小さな鞄に、たくさんの衣装が入っているとは到底思えませんから」

 そんな時、シェリルは手をパンっとたたいてそんなことを言う。採寸ということは……まさかの、オーダーメイド!? い、いや、私そんな贅沢をするつもりなんて一切なくて……!

「い、いえ、オーダーメイドなんてそんな、贅沢なこと……!」
「いえいえ、旦那様のご指示ですので。背く力は私にはありません。採寸の資料を持って、明日仕立て屋に行ってきますね。シェリル様も、好きなお色やデザインがあれば何なりとおっしゃってくださいませ」

 クレアはニコニコと笑ってそう言うけれど、私はひきつった笑みを浮かべることしか出来なかった。好きな色も、デザインもない。あえて言うのならば、私に合う色だったらなんでも……。

「シェリル様は、美しい桃色の髪をしていらっしゃいますよね! あと、瞳の色は水色ですし……。どんなお色が、似合うでしょうか?」
「さ、さぁ?」

 しかし、私は自分に似合う色がイマイチ分からない。あえて言うのならば、ブルー系かなぁってぐらい。

「では、準備をしますのでそちらに腰かけてお待ちくださいませ」

 私の意見も聞かずに、クレアは採寸の準備を始めてしまう。……だから、私の意見も聞いて頂戴。押しが、強すぎるわよ。
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