【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
第21話 ギルバートとシェリルのデート(?)(6)
 そんなギルバート様を見ていると、私はなんだか不思議な気分に陥ってしまった。ただ、「そうなのですか」ということしか出来なかった。婚約を解消されたしたという話は、聞いていて気分の良いものではない。割り切っている私だって、出来れば触れられたくない部類の話題なのだから。

「元婚約者は、他の貴族の男と遊び歩くのが趣味でな。それでも、俺は家の為だと思って我慢していた。……だが、遂に『あんたに飽きた』と言って、婚約を解消されたんだ。今思えば、笑える話だな」
「……何も、言えませんし、笑えません」
「だろうな。ま、今となってはその元婚約者が何をしているかは見当もつかないが。なんといっても、実家から勘当されたと聞いている。今は平民として生きているのではないだろうか」
「……当然の処遇だと、思います」

 簡単に婚約は解消するものではない。普通ならば、相手の家のことを考えてかなりキツイ処遇を言い渡すものだ。まぁ、私の元婚約者であるイライジャ様は、とても高貴なる身分だったため、そこまでキツイ処遇は受けていない……と思う。なんといっても、イライジャ様のお父様は元王弟殿下ですし? 元を辿れば、彼は王家の血を引いているのだ。……そんな、キツイ処遇をすることも出来ないはず。

「でもな、俺は大層傷ついたんだ。……だから、今の今まで新しい婚約者も結婚相手も、必要ないと思っていた。特に、家に送られてくる娘たちはわがままだったり、問題児ばかりだったしな。……元婚約者を思い出して、嫌な気分になった」
「さようで、ございますか。……ですが、今の今までということは、今は違うのですか?」

 ふと、ギルバート様のお言葉が引っかかってそう言えば、ギルバート様は「……今は、少しずつ前を向けている」とボソッとおっしゃった。……前を、向けるようになったのならば、良かったじゃないですか。そう言おうとした。でも、言えなかった。……ギルバート様が、真剣に私の目を見ていらっしゃったから。……今まで、私はギルバート様とこんなにもしっかりと目を合わせたことがない。だから、照れて視線を逸らしてしまう。
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