【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
第22話 ギルバートとシェリルのデート(?)(7)
 お昼を食べ終えた後、私たちはフィヘーの街を出て農地の方に向かうことになった。ゆっくりと馬車を走らせ、徐々に豊かになる自然に視線を向ける。青々とした緑と、綺麗な花々。それを見つめていると、あっという間に農地にたどり着いた。

「あぁ、伯爵様。申し訳ございません。わざわざ、足をお運びいただいて……」
「いえ、これも領主の務めですので」

 ギルバート様についてここら辺の農地のまとめ主だという中年の男性の元に向かえば、その男性は少し困ったような表情を浮かべて私たちを出迎えてくれた。どうやら、不作にかなり参っているよう。そんな様子を見つめながら、私が空気に徹していると不意にその男性は私に視線を向けて、「そちらのお嬢様は……?」と問いかけてきた。

「わ、私は……」
「カリーさん。彼女はシェリル嬢と言います。……俺の、新しい婚約者です」
「あぁ、そうなのですか。とてもお若いようですね」

 私が自己紹介をしようとすれば、ギルバート様はそうおっしゃって私の肩を抱き寄せられる。……い、いや、何故抱き寄せられたの……? そう思って混乱していれば、「カリーさん」と呼ばれた男性は少し表情を緩めて、「ご婚約されたのですね」と笑いながら言っていた。……ギルバート様、何故今日はずっと私のことを「婚約者」と紹介されているのかしら……?

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