【完結】年の差十五の旦那様Ⅰ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~【コミカライズ原作】
第28話 告白紛い
(お、落ち着きなさい。落ち着くのよ、私。……こんな幻聴に、惑わされてはダメ)

 自分にそう言い聞かせ、私は「……そうなのですね」と小さく言葉を返した。毛布はもうすでに頭の上まで引っ張り上げてしまっており、これ以上隠れることは出来ない。そんな私を見られてか、ギルバート様は「……そんなことをするな」とおっしゃると、私の顔から毛布をどけられる。その瞬間、ギルバート様と一瞬ばっちりと視線が交わった。……そのお顔は、何処か照れているようで。私は、どうしようもない感情に陥った。

「シェリル嬢は、どうだ? 俺だけ答えるのも、不公平だろう」

 そして、そんなことをおっしゃるギルバート様。……た、確かに、私だけ答えるのは不公平、よね。でも、私にははっきりとした好みのタイプというものがない。ずっと婚約者がいたし、いずれは破局になるだろうと薄々予感していたとしても、新しい恋をしようとは思えなかった。そもそも、継母がそんなことを許すわけがなかっただろうから。

「わ、私、私は……」

 いったい、どういう人が好きなの? この間、サイラスさんに同じことを尋ねられた際、無難に「優しい人」と答えた。しかし、それはあくまでも無難な答えを選んだだけ。今ならば、違う答えが出てきそう。……例えば、年上とか、不器用な人とか。あと、少し強面な人とか。

「……私は、やっぱり優しいお方が良いです」

 だけど、答えはこの間と同じ言葉。私がギルバート様のお隣に並べる未来なんて、あるわけがない。だったら、万が一ギルバート様のことを意識していたとしても、この想いは封印するべきなのだ。それに、そもそも恋愛感情としての好きは持っていないと思う。……ただ、異性として意識してしまうだけ。バカみたいよね。このお方、私よりも十五も年上なのよ?
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