この青空に、君と生きる未来を誓う。

夏の嵐とすれ違い


「え~つまりこの文の訳は……」

塾の教室の中。

英語の先生が、英文の訳し方を説明している。

でも、先生の説明は私の耳を素通りしてる。

ぼんやり窓の外を眺めていると、西の空に黒雲が見えた。

少しずつ黒雲に侵食されていく青空。

まるで、今の私の心みたいだ。

嫉妬という黒くて醜い感情に侵食されてる。

羽鳥さんの言っていたことが本当なのか知りたいけど、怖くて訊くことなんてできない。

ずっとバイトが忙しいから連絡が来ないんだと思っていた。

それだって、「バイトを始めたきっかけは優羽だ」って言ってくれた言葉を信じてたからなのに。

でもそのバイトで羽鳥さんとあんなに親しそうで、しかも羽鳥さんは彼方くんのことが好きなんだ。

羽鳥さんは彼方くんと雰囲気が似てるし、きっと趣味や好みも似てる。

私みたいにマジメなタイプより、羽鳥さんの方が彼方くんも話しやすくて一緒にいると楽なのかもしれない。
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