この青空に、君と生きる未来を誓う。

恋色に咲く花火



夏休み最後の日、私はお母さんに浴衣を着せてもらって、彼方くんとの待ち合わせ場所へ向かった。

今日は、彼方くんと花火大会デートの約束をしていたんだ。

「浴衣着てきたんだ?」

「うん」

「可愛いな。浴衣が」

「ちょっと、なにそれ」

そんな何気ない彼方くんとの会話がたまらなく嬉しい。

人ごみの中、手をつないで花火大会の会場になっている河原へ向かう。

そして、花火が見やすそうな高台へ行くと、意外と穴場らしく、人はほとんどいなかった。

花火が始まるまで、まだ少し時間がある。

「あれから久遠とは会った?」

「ううん。塾辞めちゃったみたい」

「……まあ当然だよな」

「でも、今は同じ街に住んでいるから、会う可能性はあるよね。久遠くんのお母さんが彼方くんの存在を知ったっていうことは、これから大変なことになるかもしれないよね。久遠くんのお父さんは海外にいるし、まだ彼方くんの存在を知らないわけでしょ?」
< 145 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop