この青空に、君と生きる未来を誓う。
恋色に咲く花火
夏休み最後の日、私はお母さんに浴衣を着せてもらって、彼方くんとの待ち合わせ場所へ向かった。
今日は、彼方くんと花火大会デートの約束をしていたんだ。
「浴衣着てきたんだ?」
「うん」
「可愛いな。浴衣が」
「ちょっと、なにそれ」
そんな何気ない彼方くんとの会話がたまらなく嬉しい。
人ごみの中、手をつないで花火大会の会場になっている河原へ向かう。
そして、花火が見やすそうな高台へ行くと、意外と穴場らしく、人はほとんどいなかった。
花火が始まるまで、まだ少し時間がある。
「あれから久遠とは会った?」
「ううん。塾辞めちゃったみたい」
「……まあ当然だよな」
「でも、今は同じ街に住んでいるから、会う可能性はあるよね。久遠くんのお母さんが彼方くんの存在を知ったっていうことは、これから大変なことになるかもしれないよね。久遠くんのお父さんは海外にいるし、まだ彼方くんの存在を知らないわけでしょ?」