この青空に、君と生きる未来を誓う。

聖夜の願いごと


「すごい混んでるね」

「そりゃ、クリスマスだからな」

人の多さに圧倒されて思わず呟いた私に、彼方くんがあっさりと言う。

「優羽の大学合格祝いに」と彼方くんがクリスマスイブの予定を空けてくれて、久しぶりのデートなんだけど。

この数年クリスマスに遠出していなかった私は、有名スポットを選んだことを少し後悔した。

「みんな、混むってわかっててなんでくるんだろうね?」

「俺達だって人のこと言えないだろ?」

私の言葉に、彼方くんが苦笑する。

確かにそうだよね。

混むとわかっていても来たのはやっぱり今日が特別な日で、大切な人と一緒に過ごしたいと思ったからで。

きっとそれは、ここに来ている人達も同じなんだろう。

街中はどこもクリスマス一色で、寄り添って歩く恋人達はみんな幸せそうな顔をしている。

去年までは、そんな光景を羨ましく思いながら見ているだけだった。

でも、今年は隣に大好きな人がいて。

つないでいる手の温もりは夢じゃない。

確かに、ここにあるもの。
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