優しい犯罪
「ほんなら、喋ってくるから。ここで見てるんやで」
「ありがとうございます」
家から連れて行かれた時と同じ、無表情で何を考えているか分からない。
怒っているようには見えないし、悲しんでいるようにも見えない。
自分の気持ちを殺しているみたい。
「おじさん…またギュッてしてよ」
おじさんには触れられないけど、窓に手を当てておじさんに向かって手を伸ばしてみた。
少し聞き慣れた独特なイントネーションの警察官が、おじさんの前に座って何かを話していて、おじさんは淡々とそれに答えている。