優しい犯罪




顔と体にできた痣は綺麗になくなり、切り傷も跡形もなく消えた。



栄養もバランス良く取れるようになり、身体も健康な体型に戻った。




準備は万端。いつでも迎えられる。



十八歳になるまでまだもう少し時間があるから、児童養護施設は出ていないけど、外出と外泊の許可がおりたから、今日は思う存分二人の時間を楽しみたい。





フェンス扉の前で待ち構えていると、遠くの方で鉄の扉が重く開いて、男の人が一人お辞儀をして出てきた。



少し大きめのカバンを一つ持って、よろけながら出てきた姿は、少し頼りない気がする。

牢屋では美味しいご飯を食べさせてもらえなかったんだろうか。



< 291 / 296 >

この作品をシェア

pagetop