【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
 私の言葉を聞いたラインヴァルト殿下は、肩をすくめられた。その後、小さく「本気なんだけどな」と呟かれる。

 ……その言葉が照れくさくて、私はもうどうすればいいかわからずに顔を覆った。

「か、からかわないで、ください……」

 もう一度、言葉を繰り返す。今度のは、照れ隠し……みたいな、ものだったんだと思う。

「からかってるつもりなんて、ないんだけどな」

 少し困ったようにそうおっしゃるラインヴァルト殿下に、私はもうなにを返せばいいかわからなくて。

 顔の熱が引くまで、顔を覆っておこうと思った。……でも、その手をラインヴァルト殿下に掴まれて。ゆっくりとどけられて、顔を見せる羽目になってしまう。

 彼の指が、私の目の下をなぞる。その後、満足そうに頷かれた。

「寝不足って感じはなさそうだし、ゆっくりと眠れたんだな」

 微笑んで、そう告げられる。……心臓がバクバクと大きく音を立てて、顔にさらに熱が溜まるような感覚だった。

 その指が、私の目の下から頬に触れる。私とは全然違う指に、心臓の音がどんどん駆け足になる。

「……その、とても、よく眠れました」

 返事をしないのも感じが悪いかと思って、私は視線を逸らしながらそう答える。ラインヴァルト殿下が、大きく頷かれたのが視界の端に映る。……どうやら、私の回答に満足されたらしい。

「だったら、よかった。慣れない場所だったからな。……眠れていないんじゃないかと、心配だった」
「……そん、なの」

 わざわざ、心配するようなことじゃないだろう。

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