愛を注いで吐き出して

プロローグ

粘着質な湿った音、自分の口から漏れる喘ぎ。

何度も繰り返したこの行為。

この行為こそが愛だと私は思っていた。


私の初体験は小学生低学年の頃。

相手は実の父親だった。

最初は何が何だか分からず、ただひたすら痛くて辞めて欲しくて……。

『痛いよ! 辞めて! お父さん!』

と叫んでいた気がする。

そんな私に対して父はこう言ったのだ。

『俺はお前を愛しているからこうするんだぞ』

『今は痛いかもしれないが、慣れれば気持ちよくなれる』

父の言う通り、そんな痛いだけだった行為も段々と快楽になっていったのだ。

だから、私は信じてしまった。

これが愛されてるからする行為だと。

何度も何度も、母がいない間に繰り返される行為。

私は父に愛されることが嬉しくて、ずっと受け入れた。

今思うと本当に馬鹿な子供だ。

母が父のしていた行為に対して気が付いたのは、私の妊娠がきっかけだった。

母は

『こんな子供相手にそんなことをするなんて、貴方は頭がおかしいわ!』

と父を罵倒した。

私は

『辞めてお母さん! お父さんは私を愛してるからしてくれたって言ってたよ!』

と言う。

その言葉に母はますます父に激怒した。

『そんな嘘までついて……! 本当に信じられない!』

その事がきっかけで両親は離婚。父は犯罪者となった。

そんな幼少期を過ごした私は、今でも愛に飢えてる。

そして、ワンナイトを繰り返す。

その時だけでいい。だから、私を愛して?

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