α様は毒甘な恋がしたい

「転入生の入会届、生徒会長として受け取っておくね」

 と、4つ折りの紙を開いた戒ちゃん。


「美心って、こんな漢字だったんだ……」


 なぜか嬉しそうに目じりをさげ


「美しい心かぁ。性格通りの綺麗な名前」


 書いてある文字を、丁寧に手のひらでさすりだした。



 それなのに、ぼーっと紙の文字を眺め。

 今度は急に表情を陰らせ、ボソボソボソ。


「美心のフェロモンが、この紙から全く嗅ぎ取れないなんて。俺との番関係が、解消されてしまった証拠だね……」


 泣きそうな顔で、唇をかみしめている。



 三角すわりの膝の上に片頬をくっつけ、僕と反対を向いちゃったけど……

 そりゃー番関係を解消されたら、世界の終わりみたいな顔になるよね。

 さぞかし辛かろう、辛かろう……って



 えっ? 

 ええっ?

 戒ちゃんは今、とんでもない爆弾発言をしなかった?

 ものすごく小さな声だったから、僕に聞こえていないと思っているみたいだけど。

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