α様は毒甘な恋がしたい


 祈さんは今、前世の怒りをぶつけている。

 大粒の雫をこぼしながら。

 コンクリートの壁に、こぶしをバンバン叩きつけて。


 私は今、平和な世界に住んでいる。

 戦なんてものに無縁で、命を狙われる心配もない。

 前世の祈さんと私は、立場が違いすぎ。

 生きている環境が違いすぎる。


 だから私は、前世の祈さんの苦しみ全てわかってあげることはできないけれど……

 祈さんの心の傷も、憎しみであふれた闇も、消し去ることはできないけれど……


 助けてあげたいな。

 心の痛みを、少しでも和らげてあげたいな。
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