α様は毒甘な恋がしたい
売買

 ☆美心side☆


 夢の中で、紫色のネオンがちらつく。

 聞きなれない男の人の声。


「カメラの向こうにいらっしゃる会員の皆様、オメガの眠り姫を堪能していらっしゃいますか?」


 マイクを通したその声は、悪巧みをしていそうなほどネチっこくて。

 身の危険を感じた私は、ハッ!

 慌ててまぶたを開いた。


 見慣れない場所だ。

 結婚式場かな? 

 だだっ広い披露宴会場って感じなところ。


 会場には5人掛けの丸テーブルが10卓ほどあって。

 奥には大きなステージとらせん階段。

 天井から煌めく紫のライトは、会場をラグジュアリーっぽく彩っていて。

 一段高くなったひな壇には、4人で座れそうなほど大きいソファーがドーン。

 なぜかそこに、私は座っている。

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